『田園の詩』NO.45 「一緒に遊んだ夜」(1996.5.7)


 最近のスポーツ熱の高まりで、都会の体育館は昼夜を問わず利用者が多く、施設が
足りない位だと聞いています。だから、学校の体育館も、PTAを中心とした社会人に広
く開放されてよく使われているようです。


       
     小学生、中学生、先生、地域の人達と町内で一番高い山≪雲ヶ岳≫に登りました。
      このコーナーの「NO.1」の写真の山です。ここには≪一等三角点≫があります。 (08.4.3写)



 ところが、息子の通っている小学校の体育館は建て替えられて十年にもならず、まだ
ピカピカなのですが一向に利用されていません。

 そこで私は仲間に呼びかけスポーツクラブを結成し、週に一回この体育館を利用させて
もらっています。もう三年程になりますが、金曜日の夜、大人はバトミントンをして汗を
流し、付いてきた子供達はバスケットボールをして遊びます。

 先の春休み、三月末の金曜日、この夜は大人は私一人(カギを開けるために毎回出席)
でしたが、その代り、日頃参加しない子供達まで大勢集まってきました。小学生2名、
中学生6名、高校生8名の総勢16名でした。そこで私は、体育館全部を使わせて、子供
達全員でバスケットボールをさせました。

 彼らはゲームが熱中するにつれ、「ヤッくん」とか「ジュンちゃん」とか、先輩後輩の区
別なく「くん」や「ちゃん」でお互いの名前を呼び合っていました。思い返してみれば、彼
らは六年前には、学年こそ違え、同時期にこの学校で共に学び遊んだ仲間だったのです。

 全校児童40数名の小規模校では、各学年2名位で全学年通しての『縦割り班』が編成
されます。そして諸行事の時には班を中心に活動します。ですから、大規模校では考えら
れないでしょうが、一年生と六年生が「くん」や「ちゃん」で名前を呼びあって親しく交
わるのです。

 中学生や高校生になり、いつもは交流のない彼らが、久しぶりに一緒に遊んだ夜でした。
その中に、今年高校を卒業した青年が3人いました。内2人は、東京で学ぶためと名古屋
で就職するために、数日後この町を出ていくとのことでした。

 子供達は、別れを惜しみ激励をするために集まったのかもしれません。
                                (住職・筆工)

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